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詩情の目覚め

マニキュアを塗った。
ベージュのそれを、
ひと差し指を机の上に伸ばして。
振りかえると、
月が覗き込んでいた。

マニキュアをぬった。
とう明なピンク色。
人さしゆびの小さなつめからはみ出したそれが、
かわいたボンドみたいにはりついた。

指をまげたりのばしたりしながら外にでた。
風はつめたかった。
つめの先がぴかぴかと光っていた。
「あぁ、爪の先にお月様が」
だれかのこえが聞こえた気がした。

電気を消してみた。
ベージュが乾いた人差し指でリモコンを押す。
部屋は真っ暗だった。
爪も同様に。
苦笑と落胆と、
そして再び白熱灯が目覚める刹那、
爪の先に月が灯ったのを見た。

「あぁ、        」

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